警備業を開業しよう その12 交通誘導警備の損益計算

交通誘導警備の損益について説明していきますね。

交通誘導警備といえば、1日中立ってばかりで、あまり良いイメージは持たれていないですね。しかし、公共工事にイベント等で欠かせない存在で、人員不足から公共工事の遅れやイベント中止等の社会問題が発生しているくらい重要な存在です。

基本的に多くの交通誘導警備会社が日給制を導入しています。その原因は土木工事の仕組みと密接な関係があります。土木工事では元請工事会社から下請け工事会社に委託されます。下請け工事会社は利益確保のため、最低限の技術者しか社員が居ません。工事内容に応じで、重機オペレーターや職人を雇いまいます。この方々は専門会社であったり、一人親方だったりします。「出面」とよばれ、工事で作業した日数で賃金が支払われます。月給制だと雨で中止でも賃金が発生します。これでは利益を減らしてします。

現在では土木・建築業界も人で不足から雇用改革が進み、新卒採用・正社員登用が進んでいます。

では、日当制での警備会社の損益を見てみましょう。東京を基準で考えてみます。

現在の原価(=警備員の日当)相場は8,000円~10,000円なので9,000円で説明しましょう。

原価(人件費)9,000円+社計保険事業主負担14%=10,260円

これに必要経費を加えます(福利厚生費23%+現場管理費41%=41%)

※根拠は国土交通省労務単価積算基準による。

10,260円×管理費41%=14,446円

これが最低限、警備業者が契約先に請求する基準額になります。つまり、1名の警備員が1日契約先で警備業務を行うと、5,000円の粗利益を生む事になります。10名の警備員がいて稼働率(30日でどれだけ工事現場に入れたか)を80%とすると、

5,000円×(30日×80%)×10名=1,200,000円

ぼろもうけですね。しかし、警備員の給与はどうでしょう。

9,000円×(30日×80%)=216,000円

東京で生活するには少々厳しいですね。交通誘導警備の基本は絶対的に人です。正社員や雨で現場中止でも安心できる月給制。寮・社宅完備で待遇はよくなっています。過去には制服や無線機類を「買ってもらう」慣習があったそうです。現在は「装備品完全貸与」が当たり前です。よって原価人件費と福利厚生管理費、装備費は増加傾向です。それであっても、国土交通省労務費積算基準は「労務者に支払われる金額」です。乖離がありますね。労務単価積算一覧の「警備員B」は13,200円です。9,000円の日当と比べるとかなり見劣りします。原因は警備員が「警備員指導教育責任者」の資格を持たない限り、「一人親方」のように受注できないからです。ほとんどの警備員が警備会社により警備員としての資格を担保しなければ仕事ができません。

交通誘導警備はアパートの1室で始められるといわれてきました。しかし、人を扱う業態であるために、人に対する経費を抑制すると人が集まりません。人が集まらないということは、商売として成り立たないことです。装備品や移動に使う車両の保有が必要になります。これから交通誘導警備会社を開業するなら、十分な給与体系と充実した福利厚生、装備品が必要になってくるでしょう。


About quo

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA