警備業を開業しよう その8 業界研究

さて、警備業についてあらましを説明したところで、業界研究しましょう。

警備業の市場は現在3兆円とされています。警備業の認定業者の売り上げなので、複合的なサービスを展開している(例:駆け付けサービスとハウスメンテナンス等)場合も含みますので、狭義の警備業の売り上げではありません。そしてシェアは「SECOM」「アルソック(綜合警備保障株式会社)」で90%を占めています。この2社の成り立ちについては、後日、ご紹介いたします。この2社は「総合警備会社」で、あらゆる警備を網羅していました。そう、「していた」のです。



現状の警備業界は他の業界同様に人で不足です。そして警備サービスの中心は「人」であるために、人件費の高騰に悩まされています。各社は不採算部門、主に常駐警備と現金輸送部門を子会社化しています。いずれも「人」を大量に必要とする部門です。

M&Aや業務提携も盛んです。大手企業の警備部門や医療介護、防災関連、システム開発会社と多岐にわたり、経営基盤の強化を図っています。前述の2強の寡占化が一層進んでいます。

安心安全にかかわるニーズは、東京オリンピックや凶悪犯罪の発生で増加傾向ではありますが、担い手がいないのです。警視庁の統計資料を見てみましょう

平成30年における警備業の概況

警備業者はここ4年で微増ですが、警備員数は50万人で推移。さらに警備員の平均年齢は50歳で、大工の40歳、販売員の35歳に比べると高齢化がうかがえます(総務省統計局の賃金構造基本統計調査から)。皆さんも実感としてあるのではないのでしょうか。町で見かける警備員さん、ビルの警備員さんのほとんどがご高齢な方ばかり。

これは離職率の高さと密接な関係があり、比較的高齢な方が警備の職について数年で年金生活に移行して退職していくのが原因であると考えます。警備会社側もそのような業界で退職金や昇給を整備することをせず、これが新規就労者が少なくなる現象を引き起こしています。卵が先か鶏が先かの議論ですが。

次に、全国警備業協会の資料を見てみましょう。

警備員の平均給与は19万円。全業種平均は30万円です。低いですね。そして労働時間は190時間。全業種で177時間程度を考えると時間単価がいかに低いかが分かります。ニーズの高まりはありますが、日本人固有の「安全はタダ」の意識が警備契約料金の押上げを阻んでいます。リーマンショック時でありましたが、企業で経費削減といえば警備料金は真っ先にターゲットになり、機械警備、常駐警備ともに解約や料金引き下げが行われ、契約件数は多く薄利。それをまかなうための人員は増員できず、基本給を低く抑えて残業で賄う傾向がみられました。

特に交通誘導警備では「日雇い」がいまだに見られ、「社会保険未加入者」の文言があるように、劣悪な雇用環境の一端がうかがえます。

このような業界には新卒の人は来ないでしょう。これは介護、飲食、農業にも言えることです。いわいる「3K」で低賃金、しかも長時間拘束です。このような状況を改善できているのは上位2社くらいで、コンスタントに大卒新卒が入社しています。

それでは他の中小警備会社は淘汰されるのでしょうか。2社以外でも状況改善の動きがあります。長期キャリア形成、高福利厚生、賃金の引上げ、契約社員から正社員への雇用形態変更。イメージ戦略の重要です。これは警備員の制服に関してです。

東海警備保障株式会社様の制服です。格好いいですね。女性警備員もたくさんいらっしゃいます。

株式会社にしけい様の制服です。空港保安の制服のようですね。まるでフライトアテンダントさんみたいできれいです。基本的に警備員の制服は「警察又は海上保安庁の制服」に類似していなければOKなのです。このようなイメージ戦略も大切な要素であり、お堅いイメージの警備業も接客サービスを教育に取り入れるなどしている会社があります。

システムとしての警備は人で不足は全体の問題ですから、警備の高度な機械化による省人化がこれからの課題となります。これは開発中の警備システムです。

警備員の視界の画像をAIが解析判断して異常を検知。ドローンや固定カメラを組み合わせれば、極論10名ポストの警備を1名で賄えます。もっと安価に構築されたシステムもあります。

自己警備システムです。動画のような高価なシステムでなくとも、家に設置した簡易センサーに連動して画像をスマトフォンに送信。異常を確認すれば110番通報を自分で行うことが可能です。警備会社と契約して高価な警備機器を設置するよりお得なのです。

では、警備サービスは自己警備の機械センサーとAIに置き換わるのでしょうか。

現時点で言えることは、「そこに居ること」が警備サービスの根幹であり「人」の存在は欠かせません。警備センサーからニュッとてが伸びて犯人を捕まえるわけではありません。警察は「ちょっと不安だから」と言っても無人の自宅の様子を見てはくれません。

これからの警備業はあらゆる分野を取り込みながら、あらゆるテクノロジーの中心に「人」が居る、駆け付けることで成長していくものと考えられます。


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